第六章

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「その話だが君は課長だ。役員でもないだろう?それに一度会社を出た人間をまた受け入れるのはどうかと言うのが私の意見だ。」 全うな意見だと美夜は思う。 「しかし!」 まだ何かを言いかける岩見を部長は人睨みすると。 「会社に迷惑をかけない遊びに口を出すのはどうかと思うよ。君がクラブのママに入れあげるのを私が指摘したらどうだ?それと同じだよ。」 岩見は、自分の私生活を知られている事にぞっとた。 営業部長は、それなりに部下を把握していると美夜は感じた寡黙で口数は多くない人だがまるで日本刀のような切れ味の言葉を使い取引先にも信用が厚い人物だ。 岩見は、私生活を指摘され居心地が悪くなったのかその場をアポがあるので失礼しますと去ったあと部長が美夜に言った。 「君は、よくやっていると思うよ。外資に特化して営業をかけるのも女性軽視が少ないのが外資だからだろう?今回の契約も君だから 契約できたんだ。そんな事は上は理解している。」 だから安心してくれていいと部長は言うとすまなかったねと一言ねぎらいの言葉をかけてくれた。 「私も気をつけます。ご迷惑をおかけしました。」 そう美夜が言うと部長は「これから少し色々荒れるかもしれないけど頑張って。」と美夜の肩をポンと叩いて出て行った。 正当に評価してくれる人がいるそれだけでいいと美夜は、自分を主任にと言ったのはおそらく部長の采配だと確信した。 部長の言う色々というのが気にはなったが美夜は自分の仕事に集中する事にした。 課長と金子が今でも関係があって何かをお互いに企んでいるのは、今回でよく理解できた。 それからも資料を隠されたりという嫌がらせはあったが美夜は、いつもの事だとやりすごす。 見かねた女子社員が手伝ってくれる事も多くなっているが、それを見ていた岩見は面白くなかった。 恥をかかせられたと考えた岩見は、美夜がホストと付き合っているという証拠を集めようと躍起になったが思うように情報は集まらなかった。 自分の愛人であるママにも聞くが「ホストのキョウ」は引退しているという情報しか無い。 金子は、毎日いつ荒井産業に戻れるのかという問い合わせをしてくるが岩見は、それも面倒に感じるようになってきていた。
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