第二章

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「恭介~なに?パパに何か頼み事か?」 あー始まったよ。 俺の親父は、この会社の社長の鏡 恭一郎と言う。 「頼み事なんかないよ。それよりさ金子って営業をハンティングしたみたいだけど、また何で?何がよかったんだ?」 俺は、単刀直入に聞いてみる。 親父は、大きな溜息をついて可愛くない上目使いで俺を見る。 「あれ間違いなんだよ。」 「間違い?」 「そう!僕が欲しかったのは金子の隣にいた彼女なんだ!」 「隣にいた彼女って?」 「隣の会社にねすごく仕事の出来る女の子がいてね、営業課の主任になった子なんだけど。神田 美夜って子でねやり手なんだよ。」 親父が言うには、営業部長が間違えてハンティングしてきたのが金子でそこそこ出来る男だが声をかけるほどの男ではなかったと親父は言う。 「そんなにやり手の女の子なの?」 「興味ある~聞く~。」 面倒だが聞くと言うと嬉しそうに彼女について親父が語り出した。 「隣の会社って不動産だけど彼女はね大きなプロジェクトを何個も成功させてる子なんだ。ほらこの前オープンした海岸の複合施設も彼女の営業力と企画で成功してるんだよ。」 海岸の複合施設と聞けば俺でも知ってるくらい大きなプロジェクトでそんなプロジェクトを成功させるような子を隣の会社も手放さないだろう。 「でもさ親父、金子はいい仕事したんじゃないか?」 そう俺が言うとどこが?何がというから・・。 「ほら例の銀行の娘を落としてくれたみたいだからさ。」 そう俺が言うと親父はニッと笑って。 「それもそうなんだよ・・僕もさあの子は好きにはなれないんだよね。パパもさあの子がうちの娘になるってのは嫌だ。」 だったら引き受けるなよと俺は思うけど取引の関係で断れなかったのだろう。 「パパはね、恭介が自分から好きになった女性と一緒になって欲しいと思ってるんだ。」 目をキラキラさせるな!と思うがこの話をし出すと長いから帰ると言うとランチへ行こうとかうるさい。 「親父と俺は会社では他人なんだからおかしいだろうが!」 そう言うとその設定そのものが気に入らないと言う。 「今度また家に帰った時にな。」 というと少し機嫌を直した親父は、手をヒラヒラと振る。 半年に一度帰るか帰らないかだけど、親父は会社に俺がいるだけで満足だと言う。 俺としたら後を継ぐつもりは無いが一応息子だからいるだけで。 経営は上手くいっているのは経理にいたら良くわかる、だから経理を選んだと親父は気が付いているのかいないのかはわからない。
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