第二章

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社長室を出てすぐに金子とすれ違ったが秘書課の誰かと話をしているようだった。 秘書の誰もが、俺が息子だとは知らないからスルーして経理課に戻る。 経理課に戻ると遅かったですね何か問題がありましたかと綾瀬が心配そうに聞くから何枚か社長の個人的な領収書があったから返してきたと言っておく。 そうだったんですねと、何も無かったようにまた仕事にお互い戻る。 欲しい情報は、手に入ったが意外だったのは親父が欲しかった営業が彼女だとは思わなかった。 あの親父が目をつけるほどの女性を金子は振った、そしてすぐに一条と交際なんて同時進行だったんだろう。 金子がどんな男なのか今まで興味が無かったから知らないが印象としては「あざとい男」だと感じる。 彼女をみじめな女のように思う男がいるようだが、俺から言わせれば男がそう思いたいだけで自分達より仕事ができる彼女に嫉妬しているだけだろう。 彼女を取り巻く環境は良いとは言えないかもしれないと予測できるが、簡単に陥れられるような彼女なら男以上に何倍もの努力と成績が必要な主任にまでなってないだろう。 昨日の今日でこの会社でも噂になってるくらいだから隣でも同じだと思うが彼女は大丈夫なのだろうか。 昨夜の彼女は彼女自身が思う以上に精神的にショックを受けているようにも見えた。 「恋愛を解らない。」と言った彼女に「俺が教えてやる。」なんて言ったのは俺の本音だ。 たまに見る「高潔な花」を手に入れたいと思ったんだから仕方ない。 「遠慮することはないか・・。」 「何がです?」 「嫌なんでもないよ。」 と誤魔化したが彼女が噂をよく知ってるのは、この地獄耳かもしれないと思った。 会社で俺の本性を知る人間はいない部長にしたって社長の息子だと知っている程度だ。 彼女は、今日も店に来るだろうか?その事が気がかりなだけで淡々と仕事を済ませて定時に帰ることにした。
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