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波那はいかにも仕事の出来そうな美女を前に少々緊張してしまう。隣の課にこんな綺麗な人居たんだ……聞くと昨年福岡支社から転勤してきて、麗未が通っていた大学の卒業生と分かる。彼女は大学院まで通っており、英語を始めとした八か国語を操る才女だそうだ。
「看板だなんて大袈裟な……初めまして、南愛梨です」
「小泉波那です」
理想の妻像を目の前にして一人ときめいている波那だったが、それを隠して握手を交わす。
「実はウチの姉も同じ大学の卒業生なんです」
波那は麗未を利用して話を繋ぐと、意外とあっさり食いついてくる。
「お姉さんとはいくつ違うんですか?」
「双子なんです。建築学部で、確か四十八期生だったと思います」
彼女たちが通った大学は全国でも最大規模級を誇る学校で、キャンパスも数ヶ所点在していて面識が無い事も十分考えられた。愛梨は少し考える仕草を見せて、四十八期生なら多分同い年です。と言った。
「建築学部で同期生なら小泉麗未さんの事かしら? キャンパスが違ったから直接お会いした事は無いのですが、彼女有名人でしたから」
え? 波那は嫌な予感がして笑顔が固まってしまう。麗未は近所で評判の才女であると同時に、男性もあっさり打ち負かしてしまうほどの怪力としても有名なのだ。
「彼女建築学部では史上初の女性主席卒業と言う事で結構話題になったんです」
「そうですか」
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