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今日は何だかだるいなぁ……この日は朝から体調が芳しくないので病院に行こうか悩んでいた。しかし無事に辿り着けるかすら怪しい状態で、午前中のうちに病院に行くことだけ決めて会社には連絡を入れた。
少し仮眠を取って十時を少し回った頃、体が動くうちに、と病院へ向かうことにする。自宅からは徒歩七~八分ほどなのだが、この日はやたらと遠く感じられて段々と気分が悪くなってくる。
これマズイかなぁ? 視界が霞み始めて足元もふらついており、それでも意識朦朧の中歩き続けるも途中で気を失ってしまう。
「気が付いた? 病院だよ」
その後意識を取り戻した時にはベッドの上で寝かされていた。波那はうっすらと目を開けると、通い慣れている内科の診察室の光景が映っている。
声を掛けたのは子供の頃からお世話になっている主治医のおじいちゃん先生で、八十歳を超えたのを機に引退して、息子に代を譲る事になっている。
「あの、僕どうやってここに……?」
「津田さんとこの総ちゃんが連れてきてくれたんだよ。たまたま仕事中にここを通り掛かったんだって」
まだ居るはずだよ。これまた慣れ親しんだ看護師の男性が『津田さんとこの総ちゃん』こと津田総一郎を呼んできてくれた。
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