婚活編

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 「理想を申し上げれば、総合職の方が良いですね。仕事を優先させたいけど子供も欲しい、って考えている方の方が合うと思うんです。僕家事全般得意ですし」 「と仰いますと、ご結婚なさったら家庭に入るおつもりでしょうか?」 「いえ、可能な限り仕事は続けますが、体があまり丈夫ではありませんので。月に一度のペースで通院しているんです」  そう言う事ですか。その理由に身体的事情が含まれている事を知って納得はしてくれたようだ。それからしばらく色々な話をして、この日はそれで帰る事にした。  それから数日経って、少し歳上の総合職女性を紹介される。早速お見合いをしてみたのだが、実家で飼っている仔犬に似ている。と妙に可愛がられてしまい、男性扱いしてもらえないままあっさりと撃沈した。    「婚活って案外難しいんだね」  見合い相手に交際を断られてしまった波那は、双子の姉小泉麗未(コイズミレミ)に結果を報告している。双子、とは言っても実際は赤の他人で、彼の母親は出産してすぐに亡くなっていた。一方で麗未も双子となる予定だった子が死産となり、それが縁で身寄りの無い波那を小泉家が引き取って、二人を双子として育てたのだった。ところがその割には背格好や顔立ちがよく似ており、本当の双子の様に仲が良かった。 「あんたみたいな条件だと普通に探した方が早くない? まだ三十なんだしさぁ」  麗未は楽観的な口調で美味しそうにビールを飲んでいる。
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