52人が本棚に入れています
本棚に追加
「食べてもいい?」
「うん」
波那の言葉に早速それを一つ手に取り、ラップを剥がしてかぶり付くと、幸せそうな表情を浮かべながらモグモグと口を動かしている。
「凄い食欲」
と泰地は苦笑いしていたが、お前も結構食ってるよと兄に茶化されてばつ悪そうに頭を掻く。
食事を終えてまったりとした時間を過ごしていると玄関のチャイム鳴る。来た。畠中は待ってましたとばかりいそいそと玄関に向かってドアを開けると、夏に札幌支社から戻って営業五課の課長に就任した沼口が大きなペット用のボックスを持っていた。
「結婚祝い、約束してたやつ」
「ありがとうございます。散らかってますけどどうぞ」
早速上司からボックスを受け取り、波那たちの居るリビングに案内する。お邪魔します、部屋の中を見回しながらリビングに入ると波那が既にお茶を用意しており、畠中は二人の弟と共にボックスを開けて中を覗き込んでいる。
「悪いな、バタバタした時間に邪魔して」
「大丈夫だよ、必要な作業は終わってるから。沙耶果ちゃんは元気にしてる?」
「あぁ、相変わらずだよ。それより随分と若い友達が居るんだな」
「あぁ、こいつら弟なんです」
畠中は一旦沼口に向き直って泰地と伽月を紹介する。二人は沼口の方を向き、こんにちはと頭を下げた。
「初めまして、沼口昇です。この二人と同じ会社の者です」
「泰地と申します。こっちは伽月、兄がいつもお世話になっております」
最初のコメントを投稿しよう!