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「良いよ、買い物代は全部出してもらったんだ」
波那も食べなよ。その言葉に誘われて、着替えを済ませて一緒に食事を楽しむことにする。
「ところで波那、婚活始めたんだって?」
うん。波那はゆっくりと食事を摂りながら頷いたが、兄の表情は若干渋い。
「そんなに焦んなくて良いだろ?この家の男共誰も結婚してないんだからさ」
「焦ってる訳じゃないよ、出逢いの場を増やしただけ」
そうは言ってみたが、内心は一日でも早く結婚したいと思っている。時生にしてみると、三人の兄よりも先に結婚すると彼らが焦ってしまうのではないか、と懸念していた。長兄小泉一徹は来年で四十歳になるのだが、浮いた話は一切聞かれず、次兄小泉愁、三兄小泉遼の双子はそれぞれ外国人の恋人がいるのだが、今のところその予定は無い様だ。
「せめてしゅう兄かりょう兄が結婚してくれたら……」
「順番なんてどうでも良くない?恋人も居ないのにそんなの気にしてるのとき兄だけだよ」
仕事から帰宅して早々麗未が三人の話に割って入ってきて、缶ビール四本を両手に持って立っていた。
「あーっ!それ全部飲むな!」
それを見た時生と丞尉が抗議を始める。
「こんなのじゃ足りなぁい、後で買ってきて」
麗未は抗議など一切無視でビールを飲み、何の遠慮も無く食事を摂る。
「僕が行ってくるよ、ビールだけで良いの?」
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