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プロローグ
神野優以は、横断歩道の真ん中で立ちつくしている黒の子猫を抱き上げて、横断を再開させた瞬間にものすごい音を立てて走って来る車に、勢いよく跳ね飛ばされてしまった。
そして__、目を覚ましたら病院のベッドの上どころか、ふわふわとした布団の上に横たわっていた。
「おや、目が覚めましたかニャン?」
語尾がニャンとか、何か猫の着ぐるみでも着ている人が声をかけてきたのだろうかと思って、話しかけて来た方を見ればそこには猫が二足で立っているのだ。
「えーと……、ここは? そして、私はどうなったのでしょうか?」
むくりと神野優以は起き上がった。
「実は、我の子供を助けてくれたのに、あなたはお亡くなりになりましたニャン。肉体は滅びましたが、魂は輝きつづけているので、助けてくれた御礼に、猫耳と猫尻尾の生えた猫娘にしてみましたニャン。お似合いですニャン」
「えええー! 猫耳と猫尻尾生えた猫娘ですってえええ?!」
神野優以の素っ頓狂な声が響きわたる。
こうして、神野優以の猫娘としての生活が始まる事になると説明を受けた。
しかも、猫神様によれば、ある後宮の皇帝の人生のパートナーに選ばれし者になるとか言うのだから、再び、神野優以の素っ頓狂な声が辺りに響きわたったのは言うまでもない。
転生したら猫娘になっていて、名前も神野優以から愛憐に改められた。
これからは、日本ではなく異世界で猫娘として生活を送らないといけないので、ある程度の猫の言葉や仕種等を勉強してから、中華風の街へと送り込まれてしまった。
猫神様の側近猫(優衣が助けた黒猫の子猫)が、同行してくれるという。
後宮にいる皇帝に挨拶をしに行ったら、その場で気に入られて愛憐は妻の候補の一人になる。
この皇帝は、部類のもふもふ好きで黒猫の子猫の事も気に入ってしまい、剣が扱えるなら未来の妻を守るよう命じた。
こうして、日本では考えられない転生後の生活が始まるのだった。
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