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「ディズニー? 我には、聞き慣れぬ単語が飛び交っているが、会話からして楽しそうに感じる。愛憐の生まれた街を一度、愛憐と訪ねてみたいと思う」
等と話をしていると、先ほどの付き人っぽい人と一緒に、一人の男が部屋へ入ってきた。
「そなたが、羅宇の皇帝ですか?」
「左様にございます。私が、次期皇帝の珠羅と申します。こちらが妻の愛憐にございます」
子霧の陛下に倣い、珠羅と愛憐は慌てて立ち上がって簡単に自己紹介をした。
それを見ていた仁たちも、珠羅たちの元へかけより中腰で各々自己紹介を済ませる。
「私は、子霧の華陀留と申します。どうぞお座りください。遠くから参られてお疲れでしょう。お風呂も用意してありますよ。こちらへ泊まれると良いでしょう。早速、菓子をいただいてからお風呂になさってください。その間に、料理を用意しておきます」
「華陀留殿、忝ない! では、言葉に甘えて我々は羽根を伸ばすとしよう。仁は、愛憐と入るのか?」
「そうしようと思うけど、うーん……珠羅にヤキモチ妬かれたら困るから、我は珠羅たちと入るニャン」
子猫の笑顔には魔法でもあるのか、そこにいる人たちを虜にしてしまった。
「なんて可愛いらしい」
子霧の陛下の付き人っぽい人が、仁にメロメロになっている。
「モテモテだね、仁。私がいなくても大丈夫でしょ。汗を軽く流してきます」
「愛憐さん……、我の世話を放棄したら嫌ニャン……」
子猫の潤む瞳に、愛憐は嫉妬するふりをするのをやめて、笑顔で仁の頭を撫でながら、今回は、男性陣と一緒に過ごしなさい。旅が終わったら、ご褒美をあげるからね」
「我は愛憐さんが大好きだから、愛憐さんを困らせたりする者は、我が成敗するのニャン! 琉宇も浪も何ぼんやりしているニャン? せっかくの華陀留殿の好意を無駄にしたらダメニャン。って事でお風呂に入ってくるニャン」
褒美という言葉につられているとは気付かない仁に、浪もさすがに何も突っ込まずに、子霧の華陀留の付き人っぽい人たちの後を着いていくことにした。
大浴場で長旅の疲れを取った一行は、先ほどの大広間へと集まった。
ちょうど、料理が全て運び終えたところらしく、テーブルの上にはところ狭しとお皿が乗っている。
「良い湯加減でした。このような素敵なもてなしは、我々も見習いたいものです」
「来客は、めったに訪れないのでみな張りきってましたよ。弥陀、珠羅殿たちに冷酒を、仁殿たちにはプーアル茶を」
「畏まりました。ただいまお持ちします」
そう言って、尖った耳をした女性は一旦下がった。
「あの……、先ほどの方は?」
「エルフです。子霧にはエルフと魔法使いも何人かおりますよ。貴殿のお連れ様は獣族が多いようですね」
お互いに、付き人等についての話題で盛り上がる。
浪は小さく伸びをした。
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