本性

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「……本当にいいんだね、殺しても」  僕はそれまで表情を一切変えなかった。 訴えもしなかった。 なぜなら……。 「だって、人の人生捻じ曲げようとするのなら、自分の人生かけなきゃいけないんだよ 普通のことだろ?」 僕はニコッと笑う。 「……僕は僕の人生をかけて、君を変えたいし、守りたいと思ってる」 目の前の彼女はポカンとした間抜け顔をしていた。 きっと、馬鹿だなこいつって思われてるんだろう。 そして彼女は悲しげな顔をしてこういった。 「……なんでそこまで……するの……?」 そして、僕は深呼吸して笑って答えた。 「君が好きだからだよ」  思えば僕は、彼女を守りたいからそばにいたんじゃなくて、好きだったからそばにいたのかもしれない。 自分の気持ちにただ、気づかなかっただけなのかもしれない。 「……あんな、あんな私も見たのに まだ私のこと好きだって言えるの……?」 彼女の声は涙で濡れ、目から大粒の涙がこぼれ落ちた。 「見たからこそだよ ……君には、自分を偽ってほしくない そのために怪我するのも、馬鹿にされるのも、見ているだけで嫌なんだって」 彼女は涙ながらに答える。 「なにそれ……ほんとに馬鹿…… 今から殺されちゃうのに……なにそれ……」 彼女は涙をぬぐうことに必死になっていた。
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