1人が本棚に入れています
本棚に追加
「……本当にいいんだね、殺しても」
僕はそれまで表情を一切変えなかった。
訴えもしなかった。
なぜなら……。
「だって、人の人生捻じ曲げようとするのなら、自分の人生かけなきゃいけないんだよ
普通のことだろ?」
僕はニコッと笑う。
「……僕は僕の人生をかけて、君を変えたいし、守りたいと思ってる」
目の前の彼女はポカンとした間抜け顔をしていた。
きっと、馬鹿だなこいつって思われてるんだろう。
そして彼女は悲しげな顔をしてこういった。
「……なんでそこまで……するの……?」
そして、僕は深呼吸して笑って答えた。
「君が好きだからだよ」
思えば僕は、彼女を守りたいからそばにいたんじゃなくて、好きだったからそばにいたのかもしれない。
自分の気持ちにただ、気づかなかっただけなのかもしれない。
「……あんな、あんな私も見たのに
まだ私のこと好きだって言えるの……?」
彼女の声は涙で濡れ、目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「見たからこそだよ
……君には、自分を偽ってほしくない
そのために怪我するのも、馬鹿にされるのも、見ているだけで嫌なんだって」
彼女は涙ながらに答える。
「なにそれ……ほんとに馬鹿……
今から殺されちゃうのに……なにそれ……」
彼女は涙をぬぐうことに必死になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!