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背が低くて、ピンクのワンピースを着た、小学生くらいの女の子が、隣には立っていた。
僕は屈み込んで、少女と目線を合わせる。
「どうしたのかな? もしかして迷子?」
僕が聞くと、少女は首を横に振った。
「ううん、お兄さん
どこかで見たことがあって
どこだっけ……学校の屋上かな……?
んー……わかんない……けど……」
少女は首をひねる。
僕は、その言葉で唖然とした。
もしかして、これは彼女の生まれ変わりなのではないか、と。
「まぁでも、お兄さん」
少女はニコッと笑う。
「私も好きだよ、徹くん」
少女の声が、彼女の声に聞こえた感じがした。
目の前の少女はなんでこんなことを言ったのか、わからないというような顔をしている。
まぁ、そりゃそうか。
生まれ変わったら記憶はほとんどなくなってしまう。
そんなことを、テレビとか本で見たことがあるから、きっと今回もそうなんだろう。
僕は少女の頭を撫でて、「ありがとう」と言ったあとその場を去った。
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