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彼女が退院して、数日がたった。
今は祖母に引き取られ、祖母の家から学校に通っているんだと、彼女に聞かされた。
彼女と話して色々なことがわかった。
まず、幼い頃に車に轢かれたことがあったらしい。
彼女が言うには軽い傷で済んだと言っていたが、本当にそうなのか、正直心配なところもある。
彼女はいつも、そんな話をする時は自慢話をするような感じで話す。
なんでいつもそうなのかは不明だが、彼女は武勇伝とでも思っているのだろうか?
今日も彼女と帰る日だ。
彼女といつもの公園近くを通る帰り道、彼女が思いっきりコケてしまった。
「いったた……」
そしてそこに。
「危ない!!」
急にトラックが突っ込んできた。
間一髪で僕が抱き寄せ、彼女は無傷で済んだ。
トラックは音を立ててハンドルを切り、壁に当たった。
先程まできれいだったトラックは見るも無惨にボロボロとなってしまった。
「……ありがとう」
彼女は震えた声で僕にお礼を告げた。
「い、いや、いいよ」
僕は抱き寄せていたのを改めて脳で再認識してしまったせいか、緊張してしまい、そう言って手を離した。
彼女はスカートに付いた砂埃を払うと、ニコッと笑う。
「助けてくれなかったら、私死んでたかも」
縁起でもないこと言う彼女に僕は声を失った。
「じゃあ、私帰るから」
そう言って手をふり後ろを見せる彼女。
僕は何もしないまま、ただ突っ立っているだけだった。
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