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演者
私は今、どうやら家が燃えて両親が死んだ悲劇のヒロイン、ということになっているらしい。
……正しく計画通りというやつだ。
今までの不運も全て、私が仕組んだことだ。
幼い頃に車に轢かれたことも、いじめも、両親の仲の悪さも。
……そしてあの日のことも。
珍しくお父さんがタバコを吸ってないことを確認した私は、ライターをそっと寝室から持ち出し、灰皿に残っていた吸殻に軽く火をつけて、新聞紙の上においた。
そして、いとも容易く燃えていく家の中、私は気絶し、偶然にも助けられたというわけだ。
……別にあそこで死んでも良かったのだけど。
まぁ、なにはともあれ、あのうるさい両親がいなくなってよかった。
私は悲劇のヒロインを演じる。
いつまでも、いつまでも、ずっと。
演じ続ける。
今までも、これからも。
例え、彼にそれがバレてしまったとしても。
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