繋がる

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 次にする時は、愛のあるセックスがいいって思っていたはずなのにな……。  紗世は優しく頭を撫でられる感覚で目が覚める。目を開けた途端、額にキスが降ってくる。  なんて甘い目覚めかしら。これまで何度も波斗先輩の隣で目覚める夢を見てきた。最後にキスしてドアが閉まって目が覚める……。  先輩が卒業して離れてしまえば、この気持ちもきっと消えて、いずれ新しい恋をすると思っていた。だってそばにいない人にときめくなんて出来ない。  それなのに彼はいつまでも心の中から消えなかった。 「おはよう、紗世ちゃん」 「おはようございま……んっ……」  波斗に唇を塞がれ、彼の指がゆっくり紗世の敏感な部分を弄る。  紗世の寝顔を見ながら、波斗は更に湧き上がる欲望を必死に抑えていた。 「先輩……?」 「……していい?」  こんなに気持ちを煽られて、紗世は断れるわけがなかった。 「いいよ……」  慰めているのか、ただ快楽に酔っているのかわからなかった。ただ求められることが幸せで、いつまでも繋がっていたいと思った。  波斗は息を切らしながらベッドに座ると、紗世の体を抱き寄せ自分の上に座らせる。  この体勢って……紗世はふふっと笑う。 「あの日、こうやって星を見たよね……」 「うん……紗世ちゃん、窓まで開けるからびっくりしたよ」 「きれいだったなぁ……私あの日の星空が頭から離れたことはなかった。すごく素敵な思い出なの……」  繋がったままおしゃべりをすると、なんでも素直に話してしまいそうだった。 「紗世ちゃん……俺とするの嫌じゃない? なんか利用してる感じがしちゃうんだよ」 「……同じことを三年前に私も言ったよね」 「そうだっけ?」 「そうしたら先輩、嫌だったら三回もしないって言ってくれたの。今ならわかるな……嫌だったら三回もしないよ?」 「……今四回目だけど……」  二人して笑うと、急な体勢の変化に紗世の体が崩れ落ちそうになる。 「正直わからなくなってるんだ……。健のことはショックだったのに、また紗世ちゃんと抱き合えたことが幸せで……。考えがぐちゃぐちゃでさ、自分の気持ちがわからなくなってる」 「……昨日健先輩に失恋して、すごく辛かったんだよね?」 「うん」 「今は?」  紗世の問いかけに、波斗はしばらく考えてから首を横に振る。 「案外平気みたい。でもこうして熱に浮かされてるからかなぁ」 「まぁそれもあるかもしれないけど、先輩が少しでも癒されてくれたのならそれでいいのよ……」  紗世は波斗に口づける。 「体の関係って不思議だよね……。それまでただのサークルの先輩だったのに、グッと距離が近くなった気がした。いつの間にか目で追って、体の感触を思い出して……もっともっと欲しくなって……」  私が言いたいこと、わかる? 伝わる? 紗世も熱に浮かされて、気持ちが抑えられなかった。  波斗は紗世の言葉に心臓が早く打ち始めていることに気付く。 「ねぇ紗世ちゃん……それって……? 俺としたかったってこと?」  紗世は波斗の首に腕を回し、キスをする。 「癪だから言わない」  むしろいつか言わせてやるんだから。  紗世は意識が飛ぶ前にそう決意するのだった。
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