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最終話 「事件・事故」
バスに乗っていた時の話です。
旅行先で路線バスに乗り、最寄りの駅へ向かっていました。信号待ちでバスが止まって、座席に腰かけていた私は窓から外を見ていました。目の前に古い民家があり、その玄関があいています。
不用心だなと思った瞬間、中から絶叫が響きました。
「誰か──‼ 早く来て、お父さん‼ お父さん‼」
窓が半分開いていたため、家の中から階段をバタバタ下りてくる音まで聞こえました。何があったんだと思ったとたん、前の信号が青に変わってバスがその場所を離れました。
結局それで何があったかは全くわからずじまいです。とにかくものすごい悲鳴でした。
突発的な出来事と言えば、学生時代の話です。
「あっ」
講義をしていた先生が急にそんなことを言った後、窓へかけ寄って外を見ました。
その教室は五階にあって、とても見晴らしのいい場所です。先生はしばらく硬直したように窓を見下ろしていましたが、何も言わずに教室から走り出て行ってしまいした。
もちろん、教室は大混乱です。何が何だかわからないまま友人とぽかんとしていると、そばにいた女性が泣き出しました。
「私、見ちゃった。見ちゃったよー」
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