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「だ?」
孝弘が聞き返してきた。しまった、変な声を出してしまった。
「あ、えっと……お母さんから。財布家に忘れてるってLINEがきた」
よし! いい返答だ。
「え、すげえ。利江の母親そんなこと気付くんだ」
「そ、そうなの~。めっちゃ過保護なんだよね~」
少々無理があったかもしれないが、上手く乗りきることができた。
「まあ、今日は俺が金出してやるよ」
「お、マジで? ありがと」
『後で取りに行きます』
よし、これでオーケー。
「そんなことよりもさあ」
お、話の転換? なんか怖い。私は話の転換には敏感だぞ。
「飲み終わったフラペチーノ、捨てる場所なくね?」
だ!
そんな話か。
「飲み終わったフラペチーノ、需要なくね?」
孝弘が続けた。
「あるかい、そんなん」
いや、ある。少なくとも、孝弘の飲み終わったストローには……と、そんなことを一瞬でも考えてしまった自分を、殴りたい。(浮気なんかよりは全然マシだが)
「とりあえず、俺の鞄にしまっておこう」
「あ、じゃあストロー私がもらっておくよ」
「は?」
「あ、何でもない。独り言」
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