1 ゲーセンとフラペチーノ

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「だ?」  孝弘が聞き返してきた。しまった、変な声を出してしまった。 「あ、えっと……お母さんから。財布家に忘れてるってLINEがきた」  よし! いい返答だ。 「え、すげえ。利江の母親そんなこと気付くんだ」 「そ、そうなの~。めっちゃ過保護なんだよね~」  少々無理があったかもしれないが、上手く乗りきることができた。 「まあ、今日は俺が金出してやるよ」 「お、マジで? ありがと」 『後で取りに行きます』  よし、これでオーケー。 「そんなことよりもさあ」  お、話の転換? なんか怖い。私は話の転換には敏感だぞ。  「飲み終わったフラペチーノ、捨てる場所なくね?」  だ!  そんな話か。 「飲み終わったフラペチーノ、需要なくね?」  孝弘が続けた。 「あるかい、そんなん」  いや、ある。少なくとも、孝弘の飲み終わったストローには……と、そんなことを一瞬でも考えてしまった自分を、殴りたい。(浮気なんかよりは全然マシだが) 「とりあえず、俺の鞄にしまっておこう」 「あ、じゃあストロー私がもらっておくよ」 「は?」 「あ、何でもない。独り言」
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