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0 私、浮気しても絶対にバレません!
「あー! 負けた! ちょ、利江ちゃん強い!」
「えー、先輩が弱いんじゃないですか~?」
今、私、女子大生の小梨利江は、彼氏で一つ年上の大沢和樹先輩と、先輩の家でビデオゲームをしている。
「あ、もう11時40分だ。先輩、用事があるのでそろそろ帰りますね」
「もう一試合だけ! 頼む、利江ちゃん!」
うーん、時間がやばいんだが。
「仕方ないですね、一試合だけですよ~」
「最高! 利江ちゃん可愛い!」
結局最後は大沢先輩の口車にのせられてしまう。先輩、恐るべし。
「あー、負けたー」
「やっぱり先輩が弱いんですよ~。あ、そろそろ時間がやばい。帰りますね」
「うん、ありがとねー」
「ありがとうございました」
家を出る。あと5分しかない。
遅れても多分大丈夫なのだが、私の足は自然と早歩きになった。
ふー、着いた。
スタバの前。
「ごめんね~、待った?」
「お、利江。全然待ってないよ。今から買ってくるけど何がいい?」
「フラペチーノ!」
「オーケー。買ってくるね」
「ありがとう」
そう言って、石川孝弘がスタバに入っていくのを見計らって、私は後ろを振り返る。
左手の人差し指を高くあげて、叫んだ。
「私、浮気しても絶対にバレません!」
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