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「利江、お待たせ」
「あ、孝弘。全然待ってないよ〜」
今日はデート。スタバの新作にワクワクしていたため、予定より少し早くスタバの前まで来ていた。
「じゃあ、並ぶか。てか、先に並んで待っとけばよかったのに」
「い、いやでもさぁ、後から孝弘が入ってきたら横入りみたいになりそうじゃん……」
「まあ、そうか」
本当は、そこまで頭が回っていなかっただけだが、適当な言い訳をして誤魔化した。
私は、行列の最後尾につき、一ヶ月前に浮気をやめると決めた日からのことを思い出していた。あれから、色々あったものだ。
まず連絡したのは、みんみんこと柚月くんだ。柚月くんは上京していて、電話でしか別れを告げることができなかったからだ。
別れを告げた時、柚月くんはとても悲しそうにしていた。私のせいで、柚月くんのミュージシャンの活動に支障が出なければいいなと思ったが、むしろその逆だった。
柚月くんが書いて歌った失恋ソングが、国中で大ヒットしたのだ。私はそれを知って驚き、別れたことを少し後悔したのだが、別れなかったらその曲ができていなかったと思うと、我ながら良い仕事をしたのではないかと思えた。
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