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王女の候補たち。
「ダリア様。お食事でございます。」
「ありがと。」
メイドが差し出した食事。肌などに良いとされる海藻のサラダ。美しい髪などを整えるタンパク質を取るべく豆料理。
それは上品にかつ静かに口へ運ぶ。グレーのストレートの髪はどこにも絡まる事を知らない。大きな瞳に垂れた形には親しみを。美しい上を向いた鼻には品と立体感を与え、しなやかな身体は芸術的。
この一族の王女候補のダリアだ。
「ダリア様は本当にここ数年でお綺麗になられましたね。」
「3年前にお母様が亡くなられる前はもっとおてんば娘で、あんな上品で『美しい』感じの娘じゃなかったのに。」
「今年15 歳、その時は12 歳。女性は変わるものね。」
メイド達がダリアの背中を見て話す。
「ねえ、ナズナ。」
「はい、只今!」
「今の王女の候補達の写真とかある?」
「もちもんです!ですが、今はダリア様が一番の候補とも言われてます。」
メイドが写真を数枚広げる。ダリアはその写真をじっと見る。どれも『美しい』女性で年齢も様々だ。
「このあと、街へ出て国民へ挨拶の予定です。」
「しかし、気をつけて下さい。先日は王女候補のローゼさんが例の斬殺事件の被害者に。」
「この調子では、次のターゲットはダリア様の可能性も。」
メイド達が次々に言うが、ダリアは眉一つ動かすことなく聞いている。
「…私なら…大丈夫よ。街へ出て顔を覚えてもらわないと。」
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