王女の候補たち。

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ダリアは大きな厳重な手押し車の中に。街へ繰り出し手を振る。その姿を見ようと多くの国民が移動ルートに列を成す。 「ダリア様!!こっちを見て下さい!」 「ダリア様、なんてお美しい!」 国民の声にダリアは応える様に左右を見ながら手を振る。微笑みを浮かべてダリアはまるで人形の様だ。長時間の移動や挨拶でもほとんど表情が変わらない。 そんな様子を城から見てる女性。茶色いウェーブした髪が腰まで来ている。まだあどけなさが残る可愛らしいその女性の手は一枚の写真。 その女性とグレーの女性が自分の顔を引っ張りふざけて写っている。そして『ダリア』と『ミモザ』と書かれていた。 「あんな顔…ダリアじゃない!私の友達のダリアはあんな…人形みたいじゃない!もっと人間味が溢れている。そして…私や他の人と仲良くしてくれる人なのに! この祭典が…ダリアの母が亡くなってから…あの子は変わった。 あんな遠くにいる虚像じゃない!目の前にいる本当に美しい人だったのに。」 怒りに震えるミモザ。そんな彼女の後ろから執事の姿。 「ミモザ様、貴女も王女候補なのですから、そうお怒りにならず。」 「そんな事、私はどうでもいいの!私はただ、昔の様にダリアに近づきたいの! そんな事より、例の件調べてくれた!?」 怒りをぶつけても執事は動じずに静かに頭を下げた。 「…こちらです。かなり古い文献で、信憑性については分かりませんが。」 執事がミモザに渡したのは古ぼけてボロボロになった茶色い紙が数枚。 「…この国に伝わる、呪術に関する文献です。」
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