川西美和子、異世界婚活始めます

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 惨めな気持ちのまま当てもなく、泣く場所を求めて彷徨(さまよ)っていると、ふと鳥居が見えた。  泣くまいと表情筋に改めて力を込め、一礼して鳥居をくぐる。  無礼を謝りながら、境内へ続く階段を駆け上がる。途中で涙が一粒落ちてきた。  我慢出来なくなって、踊り場のようなところでうずくまる様に座り込んだ。  大人になってからこんなに泣いたことはあっただろうか。 「……ふぇええん、ふっ……くっ、ぐすっ」  私は彼とのことを思い出していた。  彼とは学生時代からの付き合いだが、互いの仕事が忙しくなり、会う回数は減っていた。  昨年、彼からプロポーズされた後も、会えない日々が続いた。  それでも、結婚資金を貯めるためにも頑張った。彼の事が本当に好きだったから。  それがこの裏切りだ。 「――ぐすっ、私、もう人を好きになれる自信ない。このまま結婚できなかったらどうしよう……」  1人寂しく孤独死する未来を想像して背筋がぞっとした。そんな時だった。
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