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「おいおい。どうしたんだいお嬢ちゃん。そんなに泣いたらせっかくのべっぴんさんが台無しだぜ? 涙で海が出来ちまう」
上から声がした。
神社で大泣きする女の相談に乗るなんて、勇者か。
絶対面倒な理由だろうに。
うつむいたまま嗚咽交じりに返事する。
「ひっく……ず、すみません……煩くしてしまって……」
「それは構わねぇよ。辛いときは泣きゃあいい。どれおじさんが話し相手になってやるぜ」
「ぐすっ……ありがとうございます…………あれ?」
顔を上げると、石の上に鷲程のカラスがいた。
とても立派なサイズ感、ちょこんと短い三本足、羽根は光の加減で青く見える不思議な色のカラスだ。
何かの間違いかと思いながらも、カラスに話かけてみる。
「もしかしてカラスさんが?」
「おう。おじさんが話を聞いてやらぁ。オレは神様の使いってやつだ。お嬢ちゃんみたいな迷ったヤツの話を聞いて代わりに食事と住みかを貰ってる。所謂住み込みアルバイトだ」
あまりに衝撃的な光景で、思わず涙で腫れた目をこする。
「お、涙、止まったな。良かった良かった。海が出来たらおじさん溺れちまうからなー」
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