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本当、悔しいくらいに高スペックだ。確か、勉強も学内でトップクラスだったような。弟から入手した情報を辿りながら、いやでも、とひとりでに首を振った。
「あのさぁ、瑠璃。相手が高校生ってことはつまり、私と〝八歳差〟なんだからね」
まるで自分にも言い聞かせるように、瑠璃にしゃんと釘を刺す。しかし、それもあまり響かないようで、
「大したことなくない?」
彼女は水を呷りながら、一蹴した。
「大事なのは中身でしょ。歳とか世間体とかより、もっと見るべきことあると思うけど」
「見るべきこと?」
「相手の気持ちと、器の広さ。ああ、あと〝自分の気持ち〟ね」
後ろを妙に強調させてから、瑠璃はファサッと髪を下す。可愛い顔して、意外と早食いだ。
「問題はそうね、将来性とか」
「……将来性」
「お金がどうこう、とかじゃなくてさ。うちらには制限があるでしょ。子ども欲しい、とかだったらさぁ」
「い、いやいやさすがにそこまではっ」
「えぇ?だって有り得るでしょ?付き合ったら、授かる未来の一人や二人」
ひとつやふたつ、みたいに言わないでよ……。茅乃は呑み込み辛くなったオムライスを、どうにか水で流し込んだ。
「か、霞とそんなの……絶対しない、から」
「えぇ?茅乃さんは何を想像してるのかなあ?」
子どもは欲しい、なんてぼんやり思っていたけれど、つまりはそういう懸念事項も存在するわけで……。ボンッと思考がショートすると、絶賛からかいモードの瑠璃に上気した頬を指摘された。
茅乃はゆっくり鼓動を鎮めながら、改めて巡らせる。霞に向けられた気持ちと、これからどう向き合えばいいのか、と。
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