〔2〕Heaven or Hell?

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 本当、悔しいくらいに高スペックだ。確か、勉強も学内でトップクラスだったような。弟から入手した情報を辿りながら、いやでも、とひとりでに首を振った。 「あのさぁ、瑠璃。相手が高校生ってことはつまり、私と〝八歳差〟なんだからね」  まるで自分にも言い聞かせるように、瑠璃にしゃんと釘を刺す。しかし、それもあまり響かないようで、 「大したことなくない?」  彼女は水を呷りながら、一蹴した。 「大事なのは中身でしょ。歳とか世間体とかより、もっと見るべきことあると思うけど」 「見るべきこと?」 「相手の気持ちと、器の広さ。ああ、あと〝自分の気持ち〟ね」  後ろを妙に強調させてから、瑠璃はファサッと髪を下す。可愛い顔して、意外と早食いだ。 「問題はそうね、将来性とか」 「……将来性」 「お金がどうこう、とかじゃなくてさ。うちらには制限があるでしょ。子ども欲しい、とかだったらさぁ」 「い、いやいやさすがにそこまではっ」 「えぇ?だって有り得るでしょ?付き合ったら、授かる未来の一人や二人」  ひとつやふたつ、みたいに言わないでよ……。茅乃は呑み込み辛くなったオムライスを、どうにか水で流し込んだ。 「か、霞とそんなの……絶対しない、から」 「えぇ?茅乃さんは何を想像してるのかなあ?」  子どもは欲しい、なんてぼんやり思っていたけれど、つまりはそういう懸念事項も存在するわけで……。ボンッと思考がショートすると、絶賛からかいモードの瑠璃に上気した頬を指摘された。  茅乃はゆっくり鼓動を鎮めながら、改めて巡らせる。霞に向けられた気持ちと、これからどう向き合えばいいのか、と。
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