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まず、訪れたのは書庫だ。
作戦会議の予定はなかったけれど、念のため。もちろん鍵はないから、いるとしたらドアの前でたたずんでいるはず。
けど、間中くんの姿はなかった。
ついでに図書室にも顔を出してみたけど、当然そこにも間中くんはいなかった。
となると、だ。
(間中くんの行きそうなところ──)
他の教室、トイレ、グラウンド、体育館──もしや、先生から呼び出しをくらって職員室、とか?
そこまで考えたところで、ふと思い出したことがあった。
一時期、間中くんを避けていたときに連れていかれた場所。
(屋上の、階段のところ……!)
すぐさま階段を駆け下りると、渡り廊下を抜け、中央階段に向かった。
当然だけど、階段を駆け下りるのに比べて駆け上がるのはめちゃくちゃキツい。それでも足を止められなかったのは、前へ前へと向かう想いがあったからだ。
(きっといる……絶対いる……)
間中くんは、そこにひとりでいるはず。
ようやく中央階段3階の踊り場までたどり着いた。
ガクガクと震える足腰を支えるように、私は手すりにしがみついた。
「……佐島?」
声は、頭上から降ってきた。
ゆっくり顔をあげると、屋上の手前──階段の上から2段目のところに間中くんは腰を下ろしていた。
「なんで? なんで佐島がここにいるの?」
私は、答えるかわりに階段をのぼった。
あいかわらず足がガクガクしたままだったから、一段ずつゆっくりと。
「佐島……」
なにか言いかけた間中くんに軽く手をあげて、私は隣に腰を下ろした。
「報告……」
「えっ?」
「報告して……後夜祭の……」
間中くんは迷うような顔を見せたあと、小さく「うん」とうなずいた。
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