第8話

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間中くんが顔をあげたのは、昼休みが残り10分をきってからだった。 「ごめん、もう大丈夫」 右のてのひらで乱暴に目をこすると、彼は大きな口をほころばせた。 「あのさ、すげーショックだったし、ちょっと後悔もしてるけど。『告白してよかった』ってのもほんと!」 「えっ、でも……」 「池沢先輩に『好き』って知ってもらえたから。そのことはちゃんと伝わったから。俺、今すげースッキリしてる!」 屈託ない笑顔。迷いのない眼差し。 でも、それって本当? 「心配かけたくない」って無理していない? だとしたら、よけいなお世話だ。 心配かけられるくらいどうってことないんだから。 そんな私の気持ちが伝わったのか、間中くんはふっと表情をやわらげた。 「大丈夫。強がりとかそんなんじゃない」 それから勢いよく立ちあがると、私に右手を差し出してきた。 「ありがとな、佐島。佐島が協力してくれなかったら、俺たぶん告白すらできてなかった」 だから、ありがとう。 そう言って微笑む間中くんは、これまでとは違ってちょっと大人びて見えて。 (バカ……) バカバカ、そんな顔するな。 どうしよう。 心臓が、踊るみたいに跳ねている。 (やっぱり好きだ) 昨日より一昨日より、間中くんのことを好きになってしまった。
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