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間中くんが顔をあげたのは、昼休みが残り10分をきってからだった。
「ごめん、もう大丈夫」
右のてのひらで乱暴に目をこすると、彼は大きな口をほころばせた。
「あのさ、すげーショックだったし、ちょっと後悔もしてるけど。『告白してよかった』ってのもほんと!」
「えっ、でも……」
「池沢先輩に『好き』って知ってもらえたから。そのことはちゃんと伝わったから。俺、今すげースッキリしてる!」
屈託ない笑顔。迷いのない眼差し。
でも、それって本当?
「心配かけたくない」って無理していない?
だとしたら、よけいなお世話だ。
心配かけられるくらいどうってことないんだから。
そんな私の気持ちが伝わったのか、間中くんはふっと表情をやわらげた。
「大丈夫。強がりとかそんなんじゃない」
それから勢いよく立ちあがると、私に右手を差し出してきた。
「ありがとな、佐島。佐島が協力してくれなかったら、俺たぶん告白すらできてなかった」
だから、ありがとう。
そう言って微笑む間中くんは、これまでとは違ってちょっと大人びて見えて。
(バカ……)
バカバカ、そんな顔するな。
どうしよう。
心臓が、踊るみたいに跳ねている。
(やっぱり好きだ)
昨日より一昨日より、間中くんのことを好きになってしまった。
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