夏、うるさくてしんどい。

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 姉ちゃんの部屋にあるベランダに足を掛けたそのあとだった。  姉ちゃんの部屋白いカーテン。  その隙間から見えた。 「陸人────」  それは、今でも脳裏に焼き付いている。    俺の姉ちゃんは、陸人の恋人だったのだ。  それを俺は、その時知った。  ショックだった。  どれ程ショックだったことか。  なのに。俺はこれを誰に伝えることもなく、誰に悟られてることなくやり過ごすしかなかった。  間違った感情をひた隠し、土の中で静寂で孤独な人生を送っていくしかなかった。  そんな俺を嘲笑うかのように、外に羽ばたいた蝉たちは一段と大きく鳴きだした。
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