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姉ちゃんの部屋にあるベランダに足を掛けたそのあとだった。
姉ちゃんの部屋白いカーテン。
その隙間から見えた。
「陸人────」
それは、今でも脳裏に焼き付いている。
俺の姉ちゃんは、陸人の恋人だったのだ。
それを俺は、その時知った。
ショックだった。
どれ程ショックだったことか。
なのに。俺はこれを誰に伝えることもなく、誰に悟られてることなくやり過ごすしかなかった。
間違った感情をひた隠し、土の中で静寂で孤独な人生を送っていくしかなかった。
そんな俺を嘲笑うかのように、外に羽ばたいた蝉たちは一段と大きく鳴きだした。
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