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一杯目のビールを飲み干した後で私はふとさっきの自分の顔を思い出した。
『自分の顔が…気に入らない…』それがぐるぐる頭を埋める。
財布を見なくても通帳を見なくても自分が今整形をするお金がない事は分かっている。
私は現実逃避の延長戦かのようにサッとシャワーを浴びた後、黙々と化粧をする事にした。
化粧をしながらイヤホンを耳に付け、通話履歴からかずやに電話をする。かずやは切る間際4コールで出た。「おはよ!どしたー?」かずやはいつもそう。もしもしも言わずに自然な感じで電話に出てくれる。
「会いたい…店行っていい?」不安そうに言う私に「いいよー」必要最低限な言葉で返してくれた。「支度終わったらタクシーですぐ行く」そう言って通話を切り、私は少しでも人工的な目元をメイクと言う仮面で補ってかずやの店に行った。
迎えてくれたホストは新しく入ったのか顔馴染みでない子だった。
数分はると言う少し苦手なホストが着いた後かずやが席に来てくれた。「どした?今日も宝払い?」ニヤニヤしてかずやが言う。かずやのいる店ではここ2年程私はお会計していない。それを二人の間では宝払いと呼んでいるのだ。
自動延長のままかずやの優しさと、バカげたキャラに癒されつつも、かずやは人気の為席にいてくれたのは閉店までで20分程だった。
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