6時

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 森嶋が泣いているように見えたのは、窓に残った水滴のせいだっただろうか。 「さようなら、笹口君」  彼女はピンク色のスカートを翻し、ふわっとどこかへ飛んで行く。 「許してくれ! 森嶋……っ!」  燃え盛るゴンドラから炎が広がり、観覧車が大きな火車になる。  熱いのか寒いのかさえ、もう分からなかった。ただ全身が痛くて息が苦しい。たまらず窓から飛び降りようとした俺に、恐ろしい姿になった妻と息子がすがりついた。 「離せっ! 助けてくれぇっ!!」  地獄から見えたのは、雨上がりの晴天。抜けるような青空には、大きな虹がかかっていた。 【了】
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