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真夏のギラギラとした太陽が推定三十キロ平方メートルくらいの大きさの島全体を照らしている。祥吾は石を研いで作った銛を持って海に突き出た岩場から飛び込んだ。飛び込んだ勢いの深さから少し海面に浮かんでまた海底近くに潜った。砂浜から潜ることもあるのだが、祥吾は飛び込むのも慣れた。海は色々な魚がいるので一日に四匹くらいは獲れる。それに貝類もあるからタンパク質には事欠かない。野菜類は留美が調達してくれる。イモ類や玉ねぎなんかが捕れるからこの無人島も以前は人が住んでいたのかもしれない。それに井戸もあった。
何故、こんな生活をしているかというと、祥吾と留美はモータークルーザーで一カ月ほど前の土曜日の朝、千葉から太平洋に出た。他に六級航海士の資格を持つ土田が乗っていた。祥吾と留美は甲板でワインを飲んだ。海は穏やかで大きな仕事を成功した祥吾を祝ってくれているようだった。祥吾は企業にビルを売る特殊な不動産の仕事をしている。お金がある企業ならビルのオーナーになれば家賃収入が入るし、悪い話ではない。祥吾は銀座の十五階建てのビルが売れたのでそれなりのマージンが入った。
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