無人島

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 留美は祥吾の恋人だ。大学生のときに同じ英語サークルだった。祥吾も留美も二十四歳だから三年付き合っていることになる。お互いに初めて付き合った異性だ。告白したのは祥吾だった。初めて見たときから可愛いなと思っていた。大学生の時はロングヘアだったが、今、留美はレイヤーボブの少し茶色い髪をしている。可愛いと思ったのは眼だ。大きな瞳に涙袋がくっきりある。留美は新聞社で働いた。  祥吾はそろそろプロポーズしようと思っていた。 「留美、千葉の海をクルージングしないか?新聞社に有給をもらって。僕、銀座のビルの持ち主が決まったからお金が入ったんだ」 「いいよ。まだ仕事を休んだことないし大丈夫」  留美が言ったのでお互い土日を含め有給を取って四日間休んだ。インターネットで調べたらいい旅行が紹介されていたからだ。土田という人間が個人でモータークルーザーを貸し出していた。土田は四十代の男性で海の旅をさせてくれるという事業をやっていた。祥吾は太平洋のクルージングを申し込んだ。クルージングをして残った休みの日は都内の夜景が見えるホテルで食事をし、宿泊しようと思っていた。祥吾は留美と結婚したかった。ムードよく指輪を渡してプロポーズするつもりだった。
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