第5話 とぶれい(作り話)

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「裕太〜そろそろ歯磨きの時間よー」 「わかったから待って!」 「わかったわ。先に行ってるから来るのよ」 「うん……」          くりゆうな くりゆうた そんな会話が久里裕菜と久里裕太の間で繰り広げられていた。 誰かが影で見ているのも知らずに……。 『いいな、楽しそうで。姿を現そうかな。』 -50分後- 「裕太〜?もう50分も経ったわよ〜?」 「はぁ、はぁ、はぁ……」 「どうしたの裕太……」 「と、とぶれいがいたんだ!とぶれい!」 「とぶれい……?」 「道を開けて!早く隠れなきゃ殺される!」 「え?あ、うん。」 「でも暗いところに1人は怖い……」 「私が一緒にいてあげるわよ」 「ありがとう」 裕太と裕菜はすぐに暗闇の中トイレに隠れた。 「こw((Shhh」」 《バレたら殺されるでしょっ》 《う、うん》 …………………………………………………… 長い沈黙が続き、ようやく静まったと思った次の瞬間だった。 ドンドンドンドンドン!!! 大きなノック音が響いた。 裕太は、必死に悲鳴を我慢している。 それに対して裕菜は至って冷静で、平然としている。 《物音を立てないように鍵を閉めて》 《わかった》 ソッ…… カチャ 静かな物音を少しだけ立て、鍵がしまった。 次の瞬間、今度は…… ガチャガチャガチャガチャ ドンドンドンドンドンドン ドアノブをひねる音とノック音が合わさっていた。 でもここのトイレのドアは長女の裕菜でも両手を使わないと開けられないほど硬い。 2人口を塞ぎ目を瞑り耐えるしかなかった。 1番2人を怖がらせたのは、ノック音が2個聞こえてきた事だ。 霊なので力は強くても、片方はドアノブに使っているはず。 《どうして?》 《とぶれいは、手が4つあんだよ》 《へ、へぇ》 ホラー耐性が常人よりもついている裕菜でも震えるほどの時間だった。 約1時間経って、やっととぶれいは去っていった。 《よかった……》 《しっ!まだ声出しちゃダメ。》 こっそり出ていき、歯磨きをして眠った。 -翌日- 「きゃああああああああ!!!!」 「姉ちゃん!!どうした!?」 「………び… ……首… …し首… 足首……!!」 裕太が足首を見ると、くっきりと青い手形のアザがあった。 「きゃああああ「うわあああああ!!!」ああああ!!」 やがて叫び疲れたのか2人はぐったりして眠ってじった。 『私は……こうなるのを望んでたの……』 そう言うと、グイグイと首を絞めた。 2人の首を、片手で、ものすごい力で。 -違う人の家- 【早く正しい情報を。        ニュース1236】 "速報です。昨日未明、久里裕太くん10才と久里裕菜さん13歳が何者かに首を絞められ死亡する事件がありましたが、2人の死体には首にアザも何もついておらず、周辺にロープ等もありませんでした。唯一の手がかりは『いれぶと』と書かれた紙だけとなりました。" 「なにそれこわ」 「そうね……あなたも気をつけなさい」 「そうですね。」 「そういえば私、『いれぶと』を逆から読んだ『とぶれい』なら聞いたことがあるわ。」 「へぇー……もしかしたら、手がかりになるかもですね。」 「警察に連絡してくるわ。」                ゆめい 『はい、〇✕△警察、電話担当の湯名です。』 「久里姉弟の事件の事なのですが、……」 『成程、「いれぶと」を逆から読むと「とぶれい」になると。』 「そのとぶれいから殺されてしまった時の特徴が揃っているので、とぶれいの仕業かもしれないんです。」 『例えばどんな特徴でしょうか。』 「首を絞められて死んでしまったはずなのに首にアザも何も無かったり、近くに『いれぶと』のメモが書いてあるのですが、周辺に鉛筆等はありますか?」 『ボールペンならあります』 「メモの周辺に筆記用具が落ちていたりします。しかもその筆記用具は、落ちたはずなのに何故か共通して書くところが北を向いているんです」 『このボールペンも書くところが北を向いていました』 「このように、特徴が揃っています。そのため、『とぶれい』の仕業の可能性が限りなく高いです。」 『貴重な情報ありがとうございました。現時点でまだわかっていない特徴もございますので、参考にさせていただきます。では。』 その何日か後に、湯名さんと電話した家族が死ぬことになった。
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