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27 帰り道
一緒に帰るのは何日ぶりだろう。
支倉には、酷いことを言ったのに。
まるで何もなかったみたいに、ごく普通に隣を歩いてくれる彼女には感謝しかない。
歩き出してすぐ、俺は話し始めた。
「支倉にはちゃんと話そうと思って」
ずっと気にはしてた。監視に来た辰巳弁護士にはムカつくけど、きっかけができたのは良かった。
「たぶん支倉、誤解してるとこがあって。あの弁護士は、別に母さんの味方ってわけじゃないんだ」
「でも、お母さんに聞いたよ? あの弁護士夫婦にすごく助けてもらったって」
「母さんは確かに、あいつの奥さんとは仲良くしてたよ。俺も何回も会ったことあるし、今でもたまに電話してるっぽいし。
あいつは母さんの雇い主だったんだ。そこで事務職員として長いこと働いてたんだよ。そん時は、普通にいい上司だったんだと思う。
だけど、あいつの本当のボスは、冴木なんだ」
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