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笑いながら、私は密かに、大和の様子を気にしていた。
公園の鯉を見て『水面下の攻防』って言ってた。
今はそういうのを、気にしてないように見える。
『攻防』はもう終わったのだろうか。この間、十一月までに何かありそうなことを言われてたけれど。
目立つなと言われていた大和は今、ごく普通の学校生活を送っている。それは、大丈夫なのか、そうじゃないのか。
そして。
その何かが終わったら大和は……。
ずっとここにいてくれるのだろうか。
それとも、元いたところへ帰るのだろうか。
*
ミッションをこなすうち、いつのまにか丘を下りてきていて、私たちは、アトラクションが立ち並ぶエリアの方に戻って来ていた。迷路『ハニカムラビリンス』の建物は、アトラクションエリア側にある。
丘とアトラクションエリアはフェンスと道路で完全に分離されていて、見ると、上空、建物三階くらいの高さの塔から塔へと、吊り橋で渡るようになっていた。
そう、五つめのミッションは、『吊り橋を渡ってハニカムラビリンスへ向かう』だった。笑顔のスタッフが言う。
「特に仕掛けはありません。ただ渡るだけのミッションです。高所恐怖症の方、怖かったら、下を見ずに、ペアに手を繋いでもらってがんばって渡ってくださいね」
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