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——そうは言っても、何も感じないわけじゃあないのよ。
遥か眼下に小さく見える下の様子を見れば怖いし、揺れる橋に一歩踏み出せばへっぴり腰にもなる。
先に行きかけた大和は、振り返って私の様子を見ると、嬉しそうな顔をしやがった。
「ポンコツ支倉、やっぱ怖いんじゃん」
「怖くないとは言ってない! 大丈夫って言ったんだもん、ホラ」
吊り橋のロープに捕まって、一歩、二歩、そろそろと進む。その間に大和は私のところまで戻って来た。
「揺れるから動かないで!」
嫌がらせで寄って来たのだと思って睨むと、私の前にすっと手のひらが差し出された。
「な、何!?」
「怖いんだろ。ほら」
て、手を繋ごうということなのっ!?
「だ、大丈夫だってば!」
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