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けっこうですからと顔の前で手をひらひらと振った。非常事態に気を取られて、しがみついてたロープから手を離してしまったことに、気づいてもいなかった。
「まあ、せっかくのペアだから」
大和は私の遠慮を意に介せず、勝手に私の手を取った。
うわぁ、何すんの!
かぁっと血が上って、私は一人で脳内パニック!
「じゃ、行くか」
と手を引かれて、体が大きく揺れた。
「うわぁぁぁ! 揺れる! 揺れた! 怖いぃぃぃ!」
思わず繋いだ大和の手をぎゅっと握って、その上反射で空いてた方の手で大和にしがみついてしまった。
うわぁぁぁぁぁ
「なんだ、めっちゃ怖いんじゃん」
大和の笑いが、繋いだ手から、くっついた身体から、直接伝わってくる。
私の心臓がばっくんばっくん言っている。大和に伝わってたらどうしよう。
大和のせいじゃない、これは吊り橋のせいだ。吊り橋効果ってヤツだ。
お母さん、娘を嵌めてどうすんのよー!!
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