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『ハニカムラビリンス』は、六畳くらいの大きさの正六角形の部屋が、ただ延々と繋がっているだけの迷路だった。それぞれの部屋の作りは全部同じ。自動ドアになっている出入り口が三箇所、その隣り合う壁は木目調で、休めるようにベンチが置いてある。
部屋でどこを向いても同じパターンで、自分たちがどのドアから入ったのか、今どれだけ部屋を通り抜けてきたのか、分からなくなってしまった俺は既に迷子だ。
「これは迷路じゃないよね。どっちかというと迷宮」
支倉は見取り図を見ながら、確信的に進んでいく。
「今俺たちがどこにいるのか分かってんの?」
「うん。右の方から攻めてってるよ」
自信満々に言いきった。
そういえば、普段は忘れてるけど、こいつすげえ頭いいんだった。
テストの時も、図書館で勉強するとか言って、ちょっとやったら雑誌なんか読んでサボってやがる。そう思って見たら、読んでるのは『ニュートン』とかいう専門っぽい科学雑誌だった。
で、そうも勉強してなかったくせに、テストは学年トップだもんな。
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