25 学校訪問

2/3
前へ
/280ページ
次へ
 正直にいえば、聞いてそのあまりな内容に唖然とした。 「深く関わらない方がいい。彼女に気が行ってしまったらどうするんだ」  そう言ったけど、冴木の気持ちは変わらなかった。 「大丈夫、もうそんなことに(うわ)つくような歳じゃないし。とにかく彼女を助けてあげてほしい。彼女には頼れる人がいないから」  その願いが冴木らしい、とも。そう思えて私は、望み通りにしようと決意した。  冴木は本当にいい奴だ。  一人で抱えていた秘密を私に最初に話してくれた、私の誇れる親友だ。  冴木のためなら、私は何でもしてやろう。必要ならばどんな悪役でも構わない。本気でそう思っている。  再びチャイムが鳴って、バラバラと生徒たちが階段を下りてきた。  今週は放課後に、三年生の進路懇談があると聞いた。クラスを探すフリをして案内図を見る私を、懇談に来た父兄の一人だと思って誰も不審に思わない。 「こんにちはぁ!」  行儀のいい挨拶をしながら、私の後ろをすり抜けて行く。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加