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ガヤガヤとした男子の集団が通り過ぎた。
その中にいた二条河内大和は、私に気づいて目を剥いたがそのまま体育館の方へと歩いて行った。私はスポーツバッグを持つ背中を目で追った。
やっぱり。部活は他校と交流するからやるなと言ってあるのに。学校の様子を確認してよかった。
……学校の雰囲気は、適度な田舎都市なだけあって、のどかでいい感じではある。緊急に選んだ割には良い所だったな。
体育館でも少し覗いていくか。
何気なく顔を上げた時、向こうから来た生徒と目が合った。地味で真面目そうな女子生徒だ。
私は無難な会釈をして歩き出そうとしていたのを、やめた。
ほんの一瞬、彼女が驚いたからだ。私の顔を見て。
「こんにちは」
私はその女子生徒に話しかけた。
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