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「彼から何を聞いてる? 私には教えてくれないかな、彼を守るために」
「私は、何も聞いてないし、本当のことは何も知りません」
この人にヘタなごまかしは通用しない。大和から聞いたと誤解されるのだけは避けたかった私は、無難なきっかけを必死に手繰った。
「辰巳さん、ゴールデンウィークに、二条河内くんの家に来てましたよね。私、その時少し会話を聞いてしまって。それをヒントに、ネットでググりました。彼のお父さんが誰なのか」
それを聞いた弁護士の口調が非難めいたものになった。
「そういうの、一番困るんですよね、お嬢さん。あなた、彼の何なんですか。
野次馬根性で他人の秘密を暴きたがる。
教えてもいない過去を探られて、彼がどんな気持ちになるか考えましたか? 気持ち悪いだけですよ。
君のとっている行動は彼を追い詰めるだけだ。次は外国へ飛ばされますよ」
「外国って……奥さんに何の権利があって、そこまで……」
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