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 お互い黙って、重苦しい空気が充満した。  反射的に言い返したものの、今の弁護士の言葉は私の胸にザックリと刺さった。 「君は勘違いしている。彼の父親の奥さんが、彼らに酷いことをしていると思っているようですが」  冷たい口調にハッとすると、弁護士の目には軽蔑の色が浮かんでいた。 「君は少し法律の勉強をした方がいいですね。  法治国家では、ルールに反したものを救わない。彼の母親がルール違反をしたんだ。あまつさえ、その証拠を残すような真似をした。言い訳できない立場なんですよ。  母親にとっても父親にとっても、彼は困った存在なんだ。だから目立つなと忠告してるんだ」  ななな、何て言った——!?  落ち込んでたのも忘れて、私は未だかつてないくらい腹が立った! 何なのこの悪徳弁護士‼︎ 「大和のお母さんの弁護士なんでしょう? あなたは誰の味方なの!」
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