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「激しい選挙の時って、相手の陣営にスパイとか送り込むんだって。そういう世界らしい。
で、どうやら相手陣営が、冴木は昔愛人がいたらしいって噂を掴んで、調べ出した——あいつは愛妻家がウリだからさ、これは騒ぎになるんじゃないかって、飛びついたらしいんだ。
——ってことを、こっち側が送り込んでるスパイが報告してきた、と。
もう、何やってんの、いつの時代? って話だよね」
それを聞いた冴木はすぐに動いた。
「うちが珍しい名前だったのがまずいってさ。人の記憶に残りやすいし、今『二条河内』を検索すると、俺が出てきちゃうんだ。前の学校での、ハンドボール大会の記事」
「それって」
説明しなくても支倉は気づいた。
「大和の年齢が分かっちゃうと、年数を逆算して、もしかしてその時の……って推測されちゃう可能性が」
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