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28 最後の試合
ダンッ‼︎
コートの左端から投げ付けられたボールが、キーパーの足元をすり抜けてネットを揺らした。
「あぁ〜」
ため息を漏らす間もなく、鴨中の反撃が始まる。
キーパーがキャプテンの田中くんに短いパスをした。相手チームのゴール前ディフェンスに向かって、田中くんを中心に、大和と背番号4番くんの3人が素早いパスを繰り返しながら近づいていく。
距離が縮まった。立ちはだかるディフェンスの壁を前に、右に左にボールが回されるけれど、なかなか入り込む隙がない。
「サイドサイド! 奥の空いてるとこ回してー!」
観客席からハンドボールに詳しそうな保護者が叫ぶ。
7月最後の土曜日、中体連のハンドボール大会地区予選が、市の総合体育館で開催された。
まりりや大和にとって、中学最後の大会だ。
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