28 最後の試合

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 二階席の最前列で、私はみーちゃんと声援を送っていた。一緒に来た森野くんと瀬尾くんの席には荷物がぽいっと置かれ、本人たちはカメラを持って会場を動き回っている。  まりりがいるから今までにも応援に来たことはあったけど、今日はなんとなく鴨中のギャラリーが多い。それも、女の子。  「彼女を作らない二条河内センパイ」には、下級生女子の間で「不可侵条約」なるものが結ばれているそうな。4人ずつ二列並んで座ってはしゃいでる顔には、なんとなく見覚えがある。そのほかにも、あちこちの席から黄色い声援が飛ぶ。 「おっ、莉子ちゃん、真理亜の応援に来てくれたのか」  聞き慣れたガラガラ声に振り向くと、やっぱりまりりのお父さんだった。これ以上は無理ってくらい日に焼けて、歯がやたら白く見える。 「ご無沙汰してます」
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