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01♡完璧な王子様
「春野さん。これ、久世(くぜ)くんに渡しておいてもらえないかな?」
クラスメイトに呼び止められて、手渡されたのは、可愛らしいピンク色したラブレター。
それには、【 久世 颯斗くんへ 】と書かれていた。
「えっ……わ、私が……?」
「うん。お願い!」
私に向かってパチンッと手を合わせる田村(たむら)さんは、本気のようで。
「ええ〜……」
どうしよう。できることなら断りたいけど。
「お願い! 春野さんにしか頼めないの!」
「どー、して私が? ……だって、ラブレターは自分で渡した方が気持ちも伝わると思うけど……」
そうなんだけどね、と髪の毛先を指で掴むとクルクルと照れくさそうな仕草をしながら。
「それ、1週間も前に書いたの。でも、緊張しちゃって渡せてないんだ……」
「1週間も前に?」
「うん。久世くん、すごくかっこいいでしょ? だから、なかなか直接渡せなくて…」
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