83人が本棚に入れています
本棚に追加
「同じ生徒会役員の春野さんに頼めば怪しまれずに渡してもらうことができるかなって思って!」
「だ、だからって私が渡してもらってもらえるかどうか分からないし……」
本音を言えば、もちろん断りたい。
だって、私も久世くんをひっそりと想っているうちの1人だから。
でも、その恋心は誰にも秘密。
「私が知ってる中で春野さんが一番信用できるの!」
「え? 私が……?」
「うん。だからお願い! 渡すだけ渡してもらえないかな!」
両手を合わせてお願いポーズをする田村さんは、さっきよりも少しだけ食い下がった。
よっぽど、渡してほしいんだ……。
「わ、わかった。一応、渡してみる」
「ほんと?! ありがとう……っ!」
ぱあっと目をキラキラさせて、嬉しがる田村さん。
恋をしている女の子ってすごく可愛い。
「で、でも、期待はしないでね。受け取ってもらえるか分からないから……」
最初のコメントを投稿しよう!