83人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ、えっと……今! く、久世くんがすごい真剣に作業してたから……」
「そうなの? でも声かけてくれたらよかったのに」
「とっ、とんでもない! 邪魔しちゃったらいけないと思ったから…」
私なんかよりもはるかにたくさんの作業をこなさないといけない生徒会長は、きっとずっと大変で。
それなのに嫌な顔見せず愚痴も溢さず、爽やかな笑顔で場を和ませて人よりも何倍もの作業を黙々とする姿を見て、私は、久世くんを好きになった。
「邪魔なんて思わないから声かけてよ。ね?」
「う、うん……」
なにその、「ね」って言って少しだけ首を傾ける仕草……!
すっごくかっこいい! どきどきしちゃう!
心の中でもう1人の私が興奮していた。
「……あっ、そうだ。久世くんに渡すものがあったの!」
「俺に?」
久世くんが座っている席まで歩きながら、かばんの外側のポケットの中から、さっき預かっていたラブレターを取り出す。
田村さんから預かっているものなのに、まるで私のもののようで緊張がピークになる。
最初のコメントを投稿しよう!