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4.出会い
「──うわぁ……!」
教室に入ると思わず感嘆の声が出た。普段は会議室のような場所なのだろうが、今日は一種のイベント会場のようになっている。白い壁は色とりどりの風船で飾られていて、ホワイトボードには「九陽学園高等部へようこそ!」の文字と、かわいらしい絵が描かれている。また、後方の長机にはお菓子とお弁当が並んでいる。お菓子の方はスーパー等で売っている類のものだが、お弁当の方は有名な料理店のもののようだ。
「──予算相当割いてそう」
との東谷の呟きは、会計担当らしい台詞だ。そして目の前には──
「ようこそ! 九陽学園高等部へ! 私はここで第117代生徒会長を務めさせていただいております、2年の深畝無花果と申します。またこちらにおりますのは、副会長の──」
綺麗に横一列に並んだ九陽の面々を、向こうの会長である深畝が紹介していき、各々ペコリと頭を下げる。深畝は学校の顔であるので事前準備の際パンフレットで見てはいたが、やはり実物は迫力が違う。まず身長がかなり高い。天陽側で一番の高身長といえば176センチある斎江なのだが、その彼よりもさらに高く、すらっとしており、背筋がピンと伸びているのが育ちの良さを窺わせる。また、爽やかな黒髪オールバックに目鼻立ちのくっきりとした顔立ちは、モデルと言っても通用する程整っている。それに、なんだろうか……。なんだか柑橘系のいい匂いがするような……。
「──の以上6名で生徒会活動に励んでおります。本日はどうぞよろしくお願いします」
と再びお辞儀をされ、今度は天陽の自己紹介の番だ。
「こちらこそお招きありがとうございます。私は天陽高校生徒会長、2年の木崎緒斗と申します。そして向かって右から、副会長の──」
と、いつの間にかピチッと整列しているメンバーを一人ひとり紹介していく。
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