61人が本棚に入れています
本棚に追加
「──の以上5名です。本日は両校にとって有意義な時間にしたいと考えております。よろしくお願いします」
と挨拶をし、彼に向かって手を差し出した。彼も片手を差し出し、僕の手を握ると……。
「ばちっ!」
と静電気が走った、ような気がした。というのも、彼の手がいつの間にか一本増え、強く握られたからである。満面の笑みで握手をする彼を見て、やはり挨拶し慣れてるのだろうし流石だな、と思った。
先ほどから木崎の様子がおかしい、と斎江脩は思っていた。この教室に入るとき、特に変わった匂いもしないのに鼻をぴくぴくとさせていたし、握手でそんなビビることなんてないだろうに、深畝とかいう奴の手を握った瞬間、ビクッと一瞬震えていた。緊張もすっかりとれているのは挨拶の時点で確認済みであるので、そうではない。しかも、今は九陽の学校のプレゼンを聴いているのだが、発表者は二人いるのにも関わらず、深畝の方ばかり見てもう一人の方には目もくれていない。というかこれは、見惚れている、のではないか?
実際のところ、九陽の生徒会の奴らはαしかいなかった。しかいないようだった。αであれば普通、相手のαがどのくらい「種」として強いのか、誰がΩであるのか、ということが匂いからわかるらしいのだが、それが俺には全くわからない。だから、確かなことは相生に聞くしかない。
俺は木崎と東谷がプレゼンをしに席を立ったタイミングで、隣の相生に尋ねた。
最初のコメントを投稿しよう!