4.出会い

3/3
前へ
/25ページ
次へ
「なぁ、相生。木崎の匂い──」 「あなたも気づいたんですか。──ええ、やはり強くなっていますよ。抑制剤をきちんと服用しているようなので、変化は僅かですし、長く一緒にいる私でないと気づかない程度ですが」 そう言って相生ははあ、とため息をつく。 「相手はあの(九陽の)会長ですか……。いつかはこんな日が来ると思ってましたが、ここで来るとは」 「俺も同感。これから、俺らも、木崎も大変になるな」 そう言って木崎を見ると、彼は発表に勤しんでいた。あんなにここに来る前は噛みまくってたのに、今はすらすらと話していて、会長の座を射止めたことだけあるな、と感心する。 改めて相生の方を向き、相生に聞こえるように呟く。 「あの同盟を復活させる時が来たか〜」 「あまり気は進みませんけど、仕方ないですね。あの鈍感さんには必要不可欠です。──メンバー増やしますか?」 「まあそうした方が安心じゃん。それに話しやすいし」 「睦月君には貴方から話してくださいよ」 「おっけい。じゃあまた後で話そ」  ナイスタイミングで木崎達が帰ってきた。発表の緊張から解放されてか、すっかりやり切った表情をしている木崎を遠目に見ながら、俺は思った── ──友達のためにいっちょ頑張りますか、と。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加